ムゲン・サービスでは事業者などの廃棄物を回収し、仕分けを行ってできるだけ多くのゴミを資源に変える事業を展開しています。

事業者に対し、環境に良い廃棄物処理の方法を提案することで、ゴミによって発生する環境問題を防ぎ、資源枯渇の危機を回避するための資源循環型社会を創ることを目指しています。

今回は、ゴミ処分の課題に取り組むムゲン・サービス代表の伊藤海氏にお話を伺いました。
ムゲン・サービス 伊藤海 環境問題 社会起業家

プロフィール

伊藤 海 ムゲン・サービス株式会社 代表取締役社長

1979年、千葉県生まれ。

2001年に明治大学を卒業後、ベンチャー系人材派遣企業に入社。急成長する会社とともに成長し、25歳で30拠点を統括。年間売上額40億円規模の地域を担当する。

2009年にムゲン・サービス株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。

ムゲン・サービスが取り組むゴミ処分の課題

――ムゲン・サービスで取り組まれている社会課題について教えて頂けますか。

伊藤:ムゲン・サービスでは、事業として廃棄物の回収を行っています。簡単に言えば、ゴミを集めてくる仕事です。

そこで、我々が取り組む社会課題はゴミ処分によって発生する環境問題と資源枯渇の危機です。

ゴミは処理の仕方1つで、有益になるか有害になるかが決まります。

我々のような業者がいかにゴミを回収して、適切に仕分けするかが環境問題と資源枯渇の危機という2つの課題を同時に解決するために必要です。

例えるなら、資源循環は人間の「動脈」と「静脈」に似ています。パソコンなどの製品を作って消費者に届けることは「動脈」部分にあたり、それらが捨てられる時に我々が回収して処理業者に渡して、新たな資源とすることは「静脈」部分にあたります。

我々が「静脈」としていかに資源を循環させることができるかが重要なのです。

ムゲン・サービスでは、ゴミを回収し適切な仕分けを行うことで、ゴミによって発生する環境問題を防ぎ、資源枯渇の危機を回避するための資源循環型社会を創ることを目指して事業を運営しています。
ムゲン・サービス 伊藤海 社会起業家

報道への危機感が取り組むきっかけに

――ゴミの処分は個人には見えづらい部分なのではないかと思ったのですが、どうしてゴミ処分の問題に関心を持たれたのでしょうか。

伊藤:ゴミの処分の問題について課題認識が無いというのは、私からすると衝撃的なお話で、若い世代の方には仕方のないことかもしれません。

今の30代ぐらいの世代が子どもの頃は、ゴミの問題がニュースで頻繁に取り上げられていました。ゴミとは少し違う分野でも、企業の工場などから排出される公害などが報じられていましたね。

私が学生の頃は「ゴミの埋め立て地が無くなる」だとか「ダイオキシンが発生して生態系が破壊される」などのニュースが頻繁に報じられている時でした。

その時は、どうにかしなければいけない問題で、その経験がきっかけでこの領域に取り組みました。

今でこそ、あまり報じられることが無くなってきたので、若い世代がゴミ問題を課題認識していないのは仕方ないことかもしれませんが、現在も向き合わなければいけない問題です。

――今で言うところの「地球温暖化」のように取り上げられていたイメージでしょうか。

伊藤:そうですね。ゴミの埋め立て地の問題は、技術の進歩や我々のような業者の活動、一般の方々の努力によって格段に良くなり、解決に近づいています。

私が幼少の頃は、東京23区のゴミの埋め立て地が5年後には一杯になってしまうと言われていました。

それが、私が社会人になった時には15年後に一杯になるというように延びていました。

そして先日、東京都に伺ったところ、現在は50年後で一杯になると予測されていました。

これは埋め立て地を増やしたことによるものではなくて、ゴミの埋められる量がかなり減ったことの現れです。

今では考えられないかもしれませんが、昔は燃えるゴミと燃えないゴミぐらいしか区別がありませんでした。

ビンもカンもペットボトルも燃えるゴミとして捨てていた時代があったのです。

しかし、現在は仕分けをして、それらが資源になり、埋め立て地の問題も解決していっているので素晴らしい社会になっていると思います。

――ゴミの分別が鍵となり、ゴミ問題が改善されていくことによって報じられなくなったということですね。

伊藤:そうです。確実に問題としての優先順位は下がっていると思います。これは本当に凄いことで、この現状を称えるニュースなどがあってもいいのではないかと思います。
ムゲン・サービス 伊藤 社会起業家 環境問題

環境に良いことがビジネスの鍵になる

――確かにそうですね。課題にフォーカスすることも大事ですが、今、どれだけ良くなっているかを伝えることは、環境問題などの個人にとって大きすぎて認識しづらい課題に対しては大事なことかもしれません。

具体的にはどのように事業を運営されているのでしょうか。

伊藤:我々は廃棄物を出したいお客様から廃棄物を回収して処理をすることを事業として行っています。

ですので、ゴミを出したいと思っているお客様が我々のクライアントになります。

企業が企業活動を行うと大小のゴミが少なかれ発生します。なので、すべての企業様がお客様になりうるビジネスです。

お客様自身が捨て方や仕分けの仕方の知識を欲しがっていますので、どのように分けることが環境に良いのか提案を行っています。

我々の業界で嬉しいことは、環境に良い捨て方をすると利益率が上がることです。

もしかしたら他の業界では、利益率を上げようとすると辛いことを行ったり、手間を省いたりすることが挙がるかもしれませんが、我々は利益率を上げようとなると環境に良いことを行います。

例えば、革で作られたケースの手帳があったとして、そのままそれを捨てるとゴミになってしまいます。

しかし、紙の部分だけ分けて捨てると、紙は資源になります。これは一見手間に見えるのですが、環境にも良いですし、「ゴミ=費用」になっていたものが、「資源=お金」に変わることで利益率の向上に繋がります。
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――これまでの事業の運営を通して、大変だったことや嬉しかったことにはどのようなことがありますか。

伊藤:大変なことですと、一般には3Kと呼ばれる仕事の部類に入ると思うので、事故などが発生する確率はホワイトカラーのような職種に比べると高いです。

昨年ちょうど、自損事故ではあったのですが、作業中に従業員が事故にあってしまい凄く辛い出来事がありました。

事故の確率を0にすることはできないと思いますが、絶対にそういうことがあって欲しくないので、今後もずっと安全に気を配っていきたいと思っています。

嬉しいことですと、創業して10年の会社になるのですが、メインで働いてくれているドライバーの方々がまだ全員辞めずに残ってくれていることです。

従業員全員が職場を良くしようと努力してくれていることや、少しでも環境が良くなっているという実感が離職率の低さに繋がっていると思います。

自分が所属する場所を愛することで、道は開ける

――社会性のある事業が少なからず離職率の低下に繋がっているのですね。

最後に今後の展望とメッセージをお願いします。

伊藤:今後の展望としては2つございまして、1つはアジアを中心とした海外への貢献です。

今後アジアでは、私が幼少期の頃に盛んに叫ばれていた「ゴミの問題」が顕在化してきます。

日本の技術は非常に優れているので、世界の「ゴミの問題」に困っている地域で日本の技術力やこれまでの知見を活かして貢献できればと思います。

もう1つはもっと身近な話になるのですが、廃棄物業者として地域で認知され、愛される会社になることです。

ビジネスの構造上仕方ないことかもしれませんが、同じようなドライバーの業種としてヤマトさんや日通さんが一般の方にも知られているなかで、廃棄物業者の知名度が凄く低いなと感じています。

我々が活動する地域内だけでも、「多くの方に知って頂いて、愛される会社」になりたいですね。
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メッセージとしては、「自分が所属する場所を愛し、学ぶ」ということです。

それは、物理的な場所だけでなくコミュニティもそうですが、家族はもちろんのこと、学校や会社、都道府県や日本も間違いなく我々が所属する場所です。

それらに対して、興味を持って学び、愛していくことが何気ないことですが、凄く大切なことだと思います。

よく経営者の方とお話をしていると、日本の歴史に物凄く詳しい方や哲学的なことについて学ばれている方が多いなという印象を受けます。

直接的に事業に関わりがあるかというとそうではないことの方が多いようですが、社会的に価値のあることを成すには、自分が所属する社会をよく知り、人格的にも確立していることが大きな成功に繋がるのではないかと思います。

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