RAULでは、ブロックチェーンやIoTなどの先端デジタル・テクノロジーを活用して、エネルギー事業者に向けたビジネス・コンサルティング事業を展開しています。

環境資源やエネルギーを無駄なく効率的に利用できる循環型社会の実現を目指すRAUL代表の江田健二氏にお話を伺いました。
RAUL 江田健二 社会起業家

プロフィール

江田 健二 RAUL株式会社 代表取締役社長

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。
アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。

エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。
その後、起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。

一般社団法人エネルギー情報センター理事
一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事
環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員

RAULが取り組む環境・エネルギー分野の課題

――RAULで取り組まれている社会課題について教えて頂けますか。

江田:RAULではデジタルテクノロジーを活用して、環境とエネルギー領域の課題解決に取り組んでいます。

例えば、化石燃料は有限であり、闇雲に消費し続ければ枯渇するだけでなく、気候変動など環境に悪影響を与えることがわかっています。

そこでデジタルテクノロジーを活用することによって、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトを促し、持続可能で環境に負荷をかけないエネルギー使用が可能となります。

このようにして、循環型社会やエネルギーや資源が無駄なく効率的に消費される社会をデジタルテクノロジーを活用することで、実現することを目的に事業展開しています。
RAUL 江田 社会起業家

人生をかけるテーマとしてのモチベーション

――環境問題やエネルギー消費の問題は個人にとって大き過ぎる気がして、課題認識しづらい領域なのではないかと思っているのですが、どうしてこの問題に取り組もうと思われたのでしょうか。

江田:一言で言うと「一番テーマとして難しかった」からです。

個人が課題認識を持つことは難しい領域ですし、一般の人に環境やエネルギーのことを話しても難しそうという印象を持たれ、取り組むにしてもどこから手をつければいいのかわからない問題です。

誰も解決できておらず、人生をかけて取り組むには非常に面白いと思ったことが環境・エネルギーの領域に取り組もうと思ったきっかけでした。

――難しいテーマは他にもあると思うのですが、どうして環境・エネルギーだったのでしょうか。

江田:誰もやっていなかったからですね。私は2005年に今の会社を立ち上げて、このテーマに取り組んでいるのですが、その当時に起業してこの領域に取り組もうという人はほとんど皆無でした。

今でこそ、SDGsやCSRなどが話題となり、再生可能エネルギーが一般的になってきたので、何かできるのではないかという話が出てくるようになっていますが、13年前は再生可能エネルギーのコストが凄く高かったので、まだ八方塞がりという状況でした。

私が起業した時点で非常に解決が難しい領域だったということです。
RAUL 環境・エネルギー

環境・エネルギー分野に挑むRAULが描く世界観

――人生をかけて取り組むこととしての難しさにモチベーションを感じられたということですね。具体的には環境・エネルギー分野でどのように事業を展開しているのでしょうか。

江田:現在は主に電力の小売り自由化を受けて、既存事業者と新規参入者のそれぞれに向けて、デジタル・テクノロジーを活用したビジネスモデル構築のコンサルティングを行っています。

現在、日本のエネルギー市場は2016年4月の電力の小売り自由化を受けて、業界のプレーヤーが大きく変わりだしました。

プレーヤーごとに業界でのポジションが異なるので、お客様に合わせてブロックチェーンやIoTを活用したデジタル化支援を行っています。

――電力領域でブロックチェーンはどのように活用するのでしょうか。

江田:最終的には2030年以降、電力の個人間取引が行われる時代になると想定しています。

現在、日本で太陽光パネルを設置している家庭が200万世帯ほどあります。

また、事業所や学校の体育館などを含めると合計で250万ほどの小さな発電所が日本に存在していると考えられます。

そのような家庭や事業所で発電された電力は、今は国が全て買い取ってくれる法律になっているのですが、2030年ごろになると法律が変わって、個人間で電力の売買ができるようになると思います。

今は巨大な発電所が数十箇所しかないですが、250万箇所の小さな発電所ができる時代が来て、そのころには各家庭に蓄電池が入っていたり、街中で今で言うところのWi-Fiのように無線で電気が飛んでいたりする時代になるでしょう。

そして、自動運転車やドローンが自律して動いている時代が来た時には、現在のように数十箇所の発電所から電力を送電するのではなく、様々な場所で作られた電力をシェアリングできるようになります。

その時の価値取引にブロックチェーンを活用します。

例えば2030年以降、家に太陽光パネルと蓄電池とGoogleHomeがあるような家庭では「OK,Google、来週1週間出張でいないから」と言うだけで、GoogleHomeが蓄電池の量と来週の天気予報から発電量を予想して、「蓄電池に20%残しておいて、残りの電力は近くの人に売る」みたいな計算を行います。

発電された電気は全て無線給電で売って、その取引をブロックチェーンで行うと、出張から帰ってきてスマホを見た時に、先週これだけ電気が売れていましたという世界になるだろうと考えています。

そのような世界に向けた取り組みをブロックチェーンだけでなく、IoTやスマートコントラクトなどを活用して、電力会社さんに向けて支援しているのがRAULです。
RAUL 社会起業家 環境・エネルギー
――その描いている世界観がエネルギーや資源が無駄なく効率的に利用できる社会ということですね。

江田:そうですね。今は電力の元となる燃料を輸入してきて、それを数十箇所の大きな発電所から送電して、各家庭や事業所に届けるということを行っています。

これらの過程では多くの資源やエネルギーが失われていることがわかると思います。

ですが2030年以降は、今よりももっと多くの大小の発電所ができて、太陽光などを利用して発電を行い、発電された電力を近くにいる人が利用するというもの凄く効率的な社会を描くことができます。

そのような世界を実現できるようにデジタル・テクノロジーを活用して、環境・エネルギー領域の課題解決に取り組むことがRAULの事業です。

――環境やエネルギー領域に取り組むことは非常に難しいと思うのですが、これまでの運営を通して、大変だったことや嬉しかったことにはどんなことがありましたか。

江田:正直、やりたいことをやってきただけなので、大変だったことは特になかったなと感じています。

強いて言えば、市場ができるのに時間がかかっていることでしょうか。

私が会社を立ち上げて、環境やエネルギーの領域に取り組んで13年になります。

しかし、まだこれから10年後ぐらいに描いている世界が実現されるかもしれないという段階なので、今の市場を作ることに凄く時間がかかりました。

お金を稼ぐだけであれば、スマホのゲームアプリなどを作ったほうが儲かっていたかもしれませんが、自分はそこにモチベーションを感じずに環境・エネルギーというテーマを選びました。

十数年やってみたけれども、世の中はまだまだ変わらないなと思っています。

最近、エネルギー領域が盛り上がってきていますが、私としてはまだまだ時間がかかるなと思っているところです。

嬉しいことですと、2010年以降、社会的に環境・エネルギー分野が盛り上がってきているので、それ以前から取り組んでいたことが強みとなって、お客様から信頼して頂けることですね。
RAUL 江田 社会起業家

エネルギー分野の発展で多くの社会課題が解決される

――最後に今後の展望とメッセージをお願いします。

江田:RAULで実現したいことは、「エネルギーをいつでもどこでも、好きなだけ使える世界」を創ることです。

「いつでも」とは停電がないとか、「どこでも」とは家の外でも海外でも、「好きなだけ使える」というのは、価格が今よりも10分の1、100分の1になる社会です。

そうすることによって、宇宙開発やロボット技術などの産業発展の速度を上げることが出来、スーパーコンピューターによる難病の解析や植物工場による食糧危機の解決、エネルギーを奪い合う紛争の解決などに役立つと思います。

結局のところ、エネルギーコストが高いことが世界中の多くの社会課題の解決を難しくしていると私は思っています。

世界中の人が無尽蔵にエネルギーを使えれば、「多くの社会課題が解決できるようになる」と思います。

メッセージとしては、エネルギー分野は2020年代、30年代で凄く変わると思っていて、それは通信業界の1990年代、2000年代と同じようにGoogleやAmazon、ソフトバンク、楽天といった、たくさんの会社が生まれる状況に似ていると思います。

エネルギー市場の規模は現在、世界で200兆円と言われており、さらに拡大することが想定されます。

エネルギー領域の課題解決は、他の分野の社会課題解決にも大きく繋がるので、社会課題を解決したい人には非常にチャンスな領域ではないでしょうか。

エネルギー領域は他の課題に比べて敷居が高く感じられるかもしれないですが、若い方にどんどん挑戦して頂いて変えていって欲しいです。

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