HQC TOKYO 花高氏インタビュー「健康課題の見える化で健康へのアクションを促し、健康格差の是正と未病産業を創出する」

HQC TOKYOでは、HQCチェックという60項目の自覚症状にチェックしていただくだけで、その諸症状を膨大な約8億(810,881,280)アイテムのデータベースにもとづいて分析し、健康づくりのために必要な健康課題や改善指標を図形やグラフで「見える化」する技術を用いています。

HQCチェックの活用により疾病予防をサポートすることで、健康格差の是正や未病産業の創出に取り組んでいます。

今回は健康格差の是正と未病産業創出を目指すHQC TOKYO代表の花高凌氏にお話を伺いました。

HQC TOKYO 花高凌 社会起業家

プロフィール

花高 凌 株式会社HQC TOKYO 代表取締役 CEO

大学ではがんに関する研究を行うが、病気を治すより予防する方が重要であることに気づき、2018年6月に株式会社HQCTOKYOを設立。

病気を予防すること(未病改善)の重要性を広めていくための事業を展開する。

上場企業やシンポジウムで全国的に講演を行う。また、未病カウンセリング数はのべ1,000人を超える。

HQC TOKYOが取り組む医療の課題

――HQC TOKYOで取り組まれている社会課題について教えて頂けますか。

花高:HQC TOKYOでは健康格差の是正と未病産業の創出を目指した事業に取り組んでいます。

現在は経済的な格差が開いているとよく言われていますが、経済的な格差に付随して健康的な格差まで開いてしまうことは問題だと認識しています。

アメリカではそれが顕著に現れているのですが、日本はアメリカより予防医学の分野で15年遅れていると言われています。

アメリカの健康意識の高い人たちには、ジムに積極的にいくなどの健康自己管理ができている人が多い一方で、ご存知の通り毎日1キロのアイスクリームを食べる人たちもいます。健康に関する格差が物凄く開いているわけです。

日本も国民皆保険の3割負担維持が困難であると言われている中で、アメリカのように健康格差が開いてしまうことに課題意識を持っています。

そしてもう1つは、医療費が膨大に膨れ上がっていることです。どこかで、現在の医療制度から予防医学や未病を意識せざるを得ない時代に入っていると思います。

まだ、誰も予防医学や未病を産業化できていないので、しっかりと産業化して、医療費が膨らんでいくのを少しでも抑制する必要があります。
HQC TOKYO 花高凌 社会起業家 未病
今まで、健康は大切だとは思いながらも具体的に何も行動できていない人が日本人の約70%と言われています。

我々が目指していることは、この人達に健康が大事だということをしっかりと認識し、具体的な行動をしていただくことです。

自分が病気になったり、家族や友人が病気になったりして初めて健康が大事だと気づく方が多いです。

そうなる前に、気づくことができるきっかけづくりを我々は行っていきます。

――疾病は普段の生活習慣の蓄積で現れたりするものだと思うので、病気になるまで気づけないことはたしかに多いと思います。

花高:生活習慣病というのは、若い頃からの日々の積み重ねによって表面化してきます。

20代だからといって病気にならないことはもちろんありません。

人それぞれ病気の芽を持っています。そして、これを健康診断やストレスチェックで見つけることは困難です。

健康診断はすでに病気の人を見つけるシステムで、レッドラインを越えないと発見できないことが多いのです。

我々がやろうとしていることは黄色信号の人を見つけることです。

健康診断で異常なしとなった人でも病気の芽を持っている可能性があります。病気の芽を見つけて、きちんと具体的な数字で見える化して事前に気づいていただくことで、何か健康に関する行動を始めることができるようになります。

予防医療の大切さに気づいた原体験

――花高さんも健康を意識するには若い年齢だと思うのですが、どうして予防医学の領域に取り組もうと思われたのでしょうか。

花高:最初のルーツは、高校生の時にiPS細胞の山中伸弥先生の記念講演を京都大学で聞いたことでした。

講演でiPS細胞には可能性やロマンがあると思って、そこから生物学に凄く興味がわきました。

その時に、山中先生がiPS細胞の基礎を作ったと言われる奈良のとある大学院に自分も進学しようと決めて、5年後に実際に進学することになりました。

生物学の延長線上には病理学があります。私はそのなかでも日本人の死因の一位であるがんの領域を研究したいと思って、実際に研究を行いました。

そこでがんという病気のメカニズムを見つめ直した時に、改めて凄く難しいなと研究の最前線で実感したのです。

最初は抗がん剤を創りたいと思っていましたが、それよりもがんにならないほうが大事だと感じました。

そのためには体質改善、栄養、免疫、酵素などの考え方がこれから重要になると思いました。

また、私の母親が乳がんで4年前に他界し、がん患者様の気持ちが痛感したというところも大きいです。

真面目な人ほど苦しんで、お金と運がある人だけが生き残れるようでは、すごく不平等な社会だと思います。
HQC TOKYO 花高凌 社会起業家 健康格差
そのようなことを考えていた時に、たまたまご縁があってHQCチェックの開発者に出会ったのです。

HQCチェックはヘルスデザインプロモーション社が1986年から開発をはじめて2015年に特許を取得した技術です。

私はその技術にすごく感銘を受けて、こんなにいい技術があるのに世の中に浸透していないのは、凄く勿体無いと思いました。

HQCチェックはまさに僕が考えていた免疫や栄養、体内酵素の考え方がベースに作られています。

HQCチェックを世の中に普及させていくことで、もしかすると将来がんになっていた人が、それ以前に気づきがあって、行動を変える。

その結果としてがんにならずに人生を謳歌でき、幸せに暮らすことができると思いました。

それは間接的に多くの命を救うことです。そのためにこの技術をなんとか産業化しなければならないと感じて、HQCチェックの開発者とずっとやりとりを続けていました。

その後、大学院を卒業してから1年間はサラリーマンとして働きました。前職はサプリメントの新規ブランドの立ち上げとマーケティングなどの広告関連を任されていたのですが、そこでも日本人の健康意識の低さを実感することになりました。

それはメーカー側が、健康食品やサプリの品質に拘っても消費者がそれに気づけないことです。例えば、ビタミンCが何mg入っているのが適切であるか消費者は知らない場合が多いです。

メーカーは結局、広告費とイメージ戦略にお金をつぎ込み、それに比例して製品が売れます。すると、大手には太刀打ちできない可能性が高い仕組みになってしまうのです。

この仕組みを変えるには消費者の意識と知識を変えていくしかないと思いました。

消費者がもっと高い意識と知識を持って品質を判断できるようになればメーカーもそれに対応せざるを得なくなります。

そのためにHQCチェックをなんとしても普及させていかなければならないということがあり、HQC TOKYOを立ち上げました。

――実際にご自身の原体験や医療・健康業界のビジネスにかかわるなかで根本的に病気にならないということが重要だと気づき、HQC TOKYOを創業されたということですね。

花高:そうですね。私はサプリメントや薬を否定しているわけではなくて、サプリや薬を選ぶ消費者の知識や意識が低いことが課題だと思っています。

未病の領域はここ最近注目されはじめた分野ですが、未病の考え方自体は2000年前から存在します。

しかし、これまで日本では未病や予防の考え方は重要視されていませんでした。

例えば、1950年代と今では死因の順位が変わっています。1950年代は結核などが上位で、ワクチンや伝染病関連の特効薬で改善することが多いのです。

今は生活習慣病が主要な死因です。生活習慣病を治すには、生活習慣の改善以外に方法はありません。
HQC TOKYO 花高凌 社会起業家 予防医療
しかし、生活習慣を変えずに薬で対処している方が多いです。基本的に医薬品というのは対処療法であって、症状を抑え込んでごまかしていることがほとんどです。

それは根本的な治療ではない場合が多いです。

私は生活習慣改善を食習慣、運動習慣、睡眠習慣、ストレス、生き方のコーチングという5つに分類しています。

そして、ひとりひとりの現状の健康状態を的確に見える化して、その人に適した改善方法をとることが重要なのです。

本当にサービスを届けたい人に届くビジネスモデルを描く

――具体的にはどのようなビジネスモデルで事業を運営されているのでしょうか。

花高:弊社はBtoCとBtoBのモデルで事業を行っています。

BtoCモデルでは、HQCチェックを様々な健康・美容関連の専門家に持ってもらい、HQCアドバイザーとしてライセンスをとって頂ける仕組みを構築しています。

そうすることで、HQCチェックを付加価値として利用して頂くことを目指しています。

健康美容業界では、それぞれの領域の専門家は存在するのですが、それらの領域の関連性が薄いことが問題と言えます。一つの領域だけでは本当の意味で健康を叶えることは困難です。

これに横串をささなければいけません。そこの中心に私はHQCチェックを置きたいと思っています。

HQCチェックはその人の体質が見える化できるので、人によっては食生活か運動なのか、睡眠なのか、どの優先度が高いのかが具体的にアドバイスできます。

最初にまずHQCチェックを取り入れてもらって、「あなたは運動するのが最も効果的だからヨガの先生のところでヨガをしてみたらどうですか」とコンシェルジュ的に利用できるわけです。

このようなプラットフォームを作ろうとしています。

そして、我々が一番取り組みたいのはBtoBの領域です。
HQC TOKYO 花高凌 社会起業家
何故かと言うと、BtoCの領域は健康のサービスを打ち出すと多くの場合は裕福な方ばかりに偏ってしまうことが多いためです。

BtoBで導入すれば従業員様の負担を少なく利用していただけるので、健康意識の高い人から低い人までハードルを低く、取り組んでいただくことができます。

我々の理念は健康意識の低い人の意識を変えていくことなので、BtoBの領域で導入していくことをミッションとしています。

去年は様々な業界の従業員様にHQCチェックを実施いただきました。すると、業界ごとにどのような病気に向かっているか傾向が違うとわかりました。

その傾向を考慮しながらあなたの会社はこういう改善をしてくださいと具体的なアドバイスができます。

HQCチェックでは実測値を取らずに問診だけで見える化することができるので誤差が少なく、黄色信号の人たちを事前に見つけて対処することができます。

BtoBの領域で導入企業を増やしていくことで、たくさんの人にHQCチェックを受けていただいて健康に対する行動をおこしていただくことを目指しています。

できる限り多くの人が長く幸せに暮らせる気づきを与えたい

――これまでの事業運営を通して、嬉しかったことにはどのようなことがありますか。

花高:HQCチェックの結果に納得感がある、行動を変えてみる!と言ってもらえたことですね。私は今26歳なのですが、先日同い年の友人から体調がよくないと相談を受けました。

そこでHQCチェックを試してもらいました。

HQCチェックを実施すると具体的な不足栄養素がわかるのですが、1つ目に亜鉛が出ました。亜鉛は一番精力に関わるミネラルで、しかも疾病傾向に動脈硬化、疾病傾向潜在率に50%とでました。50%は強めの生活習慣改善が必要なレベルです。

そこで、はじめて健康に関する危機意識が生まれて、亜鉛のサプリをコンビニで買って、飲み続けたら体調が回復したとのことです。

ここで重要なことは、20代の全く自分の健康について考えていなかった人がHQCチェックという1つの気づきを与えることで、行動変容に繋がったことです。

人は自分の状態を理解して腑に落ちることで、行動に繋がるのだと思いました。これは間接的に命を救っていると言えるのかもしれません。

HQCチェックで気づきを与えられたことはやりがいというか、やはり嬉しい瞬間ですね。

――最後に、今後の展望と社会課題を解決したいと思っている人にメッセージをお願いします。

花高:今後の展望としては、実際にHQCチェックを用いたカウンセリングやセミナーをしていただけるHQCアドバイザーの人材養成をしっかりやっていこうと思っています。

HQCアドバイザーの輩出は今後の事業展開で必要不可欠な要素です。まさに土台といえる部分です。

そして、HQCアドバイザーを実際に使える資格にしていかなければなりません。そのための法人開拓も同時に行なっております。

また、2025年には大阪万博があるので、ここから世界展開をしていきたいと思っています。

HQCチェックは人種関係なくご実施いただくことが可能なので、多言語化すれば世界展開が可能です。健康市場はこれから世界的に需要が広がっていく部分だと思いますので、世界に向けて展開したいですね。
HQC TOKYO 花高凌 社会起業家 未病
メッセージとしては、周りの人からいかに共感されるかが重要だと思っています。

取り組んでいることに社会的な意義があれば、たくさんの人を巻き込んで、様々な人を紹介してもらえて、アドバイスももらえます。すると成功する確度があがる気がします。

とりあえず起業したいという人はそこが薄いです。金持ちになりたいだけでは、よっぽどの天才でないかぎりは難しいと思います。

思い浮かんだアイデアなんて世の中の人がだいたい考えていることなので、誰よりも強い想いを持って実行できる人が成功に近づけると思います。

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