男女が共に活躍できる社会が近年叫ばれています。しかし、2018年の帝国データバンクの調査によると、企業における女性の管理職の割合は、7.2%。驚きの数字です。
男女共同参画社会やジェンダー格差の改善が叫ばれているなかで、この数字。日本社会での女性活躍はまだまだ厳しい現状にあります。
ここでは男女共同参画社会やジェンダー格差の現状、背景、その解決への取り組みを紹介します。
男女共同参画社会とは
男女共同参画社会とは、男女が対等に、自分の意思によって社会的活動に参画する機会が確保されている社会のことです。
男女共同参画社会の理念を目指すため、男女共同参画社会基本法という法律が制定されています。
男女共同参画社会という名前は聞いたことがあっても、男女共同参画社会基本法についてはなじみがないかもしれません。
基本法は、理念を国や地方自治体、国民に実現させることを明記させた法律であり、具体的な禁止事項などを持つものではありません。
男女共同参画社会基本法の場合、その理念を国、地方自治体の政策や国民の活動に反映することを規定しています。
安倍政権では「女性活躍推進」を推し進めていますが、この女性活躍推進法も、男女共同参画社会基本法をベースに制定されています。
また世界では女性活躍推進への取り組みに関し「ジェンダー格差」、「ジェンダー平等」と叫ばれることも多いです。
ジェンダーとは
国連女性機関(UN Women)の定義によるとジェンダーとは「男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係」と定義されています。
つまり、ジェンダー平等やジェンダー格差の改善とは、上記の関係を平等にする改善することを指しています。
世界のジェンダー格差
ジェンダー格差の問題は男性優位の社会に対する女性の待遇に関するものがほとんどです。現状で世界には、以下のようなジェンダー格差が存在しています。
・7億8千万人の女性と少女が18歳以前に結婚し、30カ国で少なくとも2億人の女性と少女がFGM(女性器切除:アフリカや中東、アジアの一部の国々で行われている慣習)を受けている。
・18カ国で、夫が法的に妻が働くことを防ぐことができる。 39カ国で、娘と息子には同等の継承権が与えられていない。 49カ国で女性を家庭内暴力から守る法律がない。
・15歳~49歳の女性と少女の19%、およそ5人に1人の女性と少女が過去12ヶ月の間に親密なパートナーによる身体的または性的な暴力を経験している。 しかし、49カ国で女性をそのような暴力から守る法律がない。
・世界中で女性が政治に進出しているが、国会での男女比率は23.7%であり平等からはまだ遠い状態である。
・結婚した女性の52%だけが、性関係、避妊の有無、健康管理について自由に決定できている。
・世界の女性が農地所有者である割合は13%だけである。
世界的にはジェンダーの格差に関して、女性の社会進出以外にも多くの不平等が存在しています。
男女共同参画社会が進まない背景
世界では多くのジェンダー格差に関する課題が存在していますが、日本ではそのなかでも特に遅れていると言われている女性の社会進出に注目が集まっています。
日本では男女共同参画社会基本法は制定から20年がたっていますが、なかなかその理念が実現できているとは言えない状況にあります。
その背景として、男女共同参画社会基本法には罰則規定がないため、理念の実現に協力しないからといって企業が罰せられないことなどが考えられます。
日本では、長らく「コース別人事」の風習がありました。男性は総合職、女性は一般職のように、同じように採用しても待遇が違うものです。
女性は出産をする場合、一時的に休職する必要があるため、かつての日本企業では長く常に働ける男性を重用する傾向がありました。
徐々に総合職で活躍する女性が増えているとはいえ、男女共同参画社会の理念を実現させる義務は企業に与えられていないため、状況はなかなか改善してきませんでした。
男女共同参画社会の実現のためには
どうすればその理念を実現できるのか。その手法は1つではありません。法律や規制で実現することは経済活動の自由がある以上、そう簡単には進みません。
まずは、真に企業や国民がこの問題に当事者意識を持つことが必要なのではないでしょうか。
そして、そのためには仕事における女性ならではの視点や魅力を国民が理解していくことや女性が働きやすい環境を整えることが重要と言えます。
男女共同参画社会の実現へのアプローチは多様なものが考えられますが、ここではビジネスで解決に取り組んでいる事例を一部ご紹介します。
女性の負担を軽減し社会進出を後押しするキッズライン
image from キッズライン
キッズラインは通常のベビーシッターサービスの約3分の1の値段で、1時間1,000円~即日手配も可能なオンラインベビーシッターサービスです。
子どもの対象年齢は0歳から15歳まで。母親ケア、バイリンガル英語や家庭教師の依頼にも対応しています。
事前に全シッターの詳細なプロフィールが見られるばかりではなく、利用者全員の口コミ評価や、Facebookで繋がる友人の利用シッターがわかるなど、安心して手配する事に取り組んでいます。
思い立った時にいつでも予約できるようにすること、安心・安全面に取り組むことで、働く女性の負担を軽減し女性の社会進出を後押しするサービスと言えます。
子育てシェアサービスAsmama(アズママ)
image from AsMama
安心して育児や仕事ができる社会づくりをビジネスで取り組んでいるのがAsmamaです。
Asmamaは2009年に、「誰もが当たり前に社会参画できる仕組みをリアルとネットで作ろう」という理念のもと、創立されました。
Asmamaでは「子育てシェア」を展開しています。
「子育てシェア」は、おさがりやおすそわけ、貸し借りができる「モノのシェア」、食事やお出かけなどを大人だけ、子どもだけでも一緒に誘いあう事ができる「コト(予定)のシェア」、頼める知り合いを探して頼ることができる「送迎や託児のシェア」をサービスとして展開しています。
これまでもご近所付き合いで行われていたことをサービスとして後押しすることで、安心・安全や合理性を担保することに成功していると言えます。
まとめ
男女共同参画社会の理念やジェンダー格差の改善はまだまだ実現できているとはいえません。その背景として、その実現に協力しない企業を罰するような法律がないことをあげました。
その状況を解決するためには規制に頼るのではなく、国民一人一人が女性活躍の必要性や魅力を真剣に考え、当事者意識をもって行動することが必要であるといえます。
今回紹介したキッズラインやAsmamaのように女性の社会進出を後押しするサービスが増え、女性が働きやすい社会が実現されることを期待したいです。
いずれは女性活躍などとくくったり、意識することなく男女の活躍の平等が成し遂げられるのが望ましいと言えるでしょう。