都市部で増加する待機児童問題の原因とは

共働き家庭の増加や家族形態の変化などによって、都市部では「待機児童」の問題が社会課題となっています。

都市部以外では、定員割れして閉園するような保育施設もあるなかで、どうしてこのような事態になってしまうのでしょうか。女性の社会進出と活躍が期待されるなかで待機児童の問題は大きな障害になってしまいます。

ここでは待機児童の問題について原因や現状についてご紹介します。
待機児童 原因

待機児童とは

福祉社会辞典の定義によると待機児童とは「入所・利用資格があるにもかかわらず、保育所が不足している、定員が一杯であるために入所できずに入所を待っている児童のこと」と定義されています。

つまり、待機児童を巡る問題というのは、保護者が子どもを保育所に預けたいと思っているのに、保育所の数や定員の不足によって預けられない状態になっている問題だと言えます。

待機児童の現状

具体的に待機児童の問題はどこで生じているのでしょうか。

厚生労働省の報告によると、2017年4月1日時点で保育所等待機児童数の状況は、26081人であり、昨対で2528人増加しています。
待機児童 原因 現状<出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」>

この待機児童数を都市部とそれ以外の地域で比較したデータでは、7都府県・指定都市・中核市の待機児童数は18,799人( 72.1%)であり、その他の道県では7,282人( 27.9%)となっています。
待機児童 問題 原因<出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」>

都市部の待機児童として、首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)、近畿圏(京 都・大阪・兵庫)の7都府県(指定都市・中核市含む)とその他の指定都市・中核市の合計は18,799人(前年より1,298人増)で、全待機児童の 72.1%(前 年から2.2ポイント減)を占めており、待機児童が都市部に集中していることがわかります。

待機児童が発生する原因

待機児童はどうして発生してしまうのでしょうか。その原因はいくつか考えられます。

女性の社会進出

経済的理由やライフスタイル・働くことへの価値観の変化、世界的な女性の社会進出の後押しを受けて女性が働く世帯が増えてきました。それにより家で子どもの面倒を見ることができる親が減っていると考えられます。

核家族化

世帯の核家族化が進んでいることによって、両親が働きに出てしまうと祖父母などが面倒見るということができない世帯が増えています。厚生労働省の調査によると2015年時点で、児童のいる世帯の79.0%の世帯構造は核家族です。

保育士の不足

厚生労働省が委託した自治体向けの調査結果によると、保育士の状況に関して「非常に不足している」という回答が10.8%、「不足している」が26.2%、「やや不足している」が39.2%となっており、合計すると全体で4 分の3 以上の自治体は保育士が不足していると回答していることになります。

しかし、厚生労働省の調査によると保育士登録者数は約119万人ですが勤務者数は約43万人であり、潜在保育士(保育士資格を持ち登録されているが、 社会福祉施設等で勤務していない者)が約76万人も存在するという結果になっています。
待機児童 原因 問題<出典:厚生労働省「保育士等に関する関係資料」>
このギャップは保育士の労働条件や労働環境が原因で保育資格を保有しているのに、勤務しないことを選択している人が多いことが主な原因だと考えられています。

都市への人口集中

働く場所の集中や利便性によって都市部に人口が集中しています。建物や住宅が密集することによって、保育施設の需要は高まっているのに、国の基準を満たす保育施設を作ることができなかったり、近隣住民からの反対を受けて建設することができなかったりするケースがあります。

認可保育所と認可外保育施設

保育施設は国が定めた基準をクリアした認可保育所とクリアしていない認可外保育施設に大きく分けることができます。

そして、認可保育所ばかりに入所希望が集中してしまうことが、待機児童問題の要因とも考えられます。国の基準をクリアしていることが利用者の安心感につながっていることや保育料が低く設定されている点も認可保育所ばかりに入所希望が集中してしまうこと要因になっています。

認可保育所の運営費の大半は補助金で賄われており、利用者の負担が大幅に軽減されています。

一方、認可外保育施設の場合は、一部の補助対象施設を除き、原則として運営費のほとんどを利用者からの保育料収入で賄っているため、必然的に認可保育所と比べて保育料が高くなってしまっています。

まとめ

待機児童の問題は、女性の社会進出を妨げてしまうこともあり具体的な対策が必要な課題です。

待機児童が発生してしまう要因には、社会の潮流による仕方がないものもありますが、保育士の待遇改善や認可外保育施設のイメージ向上は可能でしょう。

待機児童の問題は乳幼児が対象であり、基準を緩和することは難しく、預ける保護者も安心感が施設・サービスの選択において重要です。課題解決にはこの点を認識する必要があります。

参考サイト:厚生労働省:「保育所等関連状況取りまとめ」
厚生労働省「保育士等に関する関係資料」

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