SDGs:目標2「飢餓をゼロに」

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、2015年9月の国連サミットで193の国連加盟国の合意によって採択された2016年から2030年までの国際目標です。

ここでは、目標2の「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」について解説します。

目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

SDGs 飢餓 社会課題

農林水産業は適切に管理すれば、すべての人に栄養価の高い食料を提供し、適正な収入を生み出す一方で、人間中心型の農村開発を支え、環境を守ることもできます。

現在は土壌や淡水、海洋、生物多様性の劣化が急速に進んでいます。気候変動は私たちが依存する資源にさらに大きな圧力をかけ、干ばつや洪水など災害に関連するリスクも高めています。

農村部には男女を問わず、自分たちの土地で生計を立てられなくなり、機会を求めて都市への移住を余儀なくされる人々が多くいます。

現時点で空腹を抱えている7億9,500万あまりの人々と、2050年までに増加が予測される20億人に食料を供給するためには、世界の食料・農業システムを根本的に変革することが必要です。

食料・農業部門は開発課題の解決に鍵を握るだけでなく、飢餓と貧困の根絶にも中心的な役割を果たします。(※1)

目標2のターゲット

目標2におけるターゲットは下記の8項目です。

2.1 2030 年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2 5 歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025 年までに達成するなど、2030 年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3 2030 年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030 年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5 2020 年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

飢餓と食料安全保障の現状

目標2の「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」に対する具体的な成果指標として8つのターゲットを紹介しました。

これらのターゲットを達成するには、現状とのギャップを知り、そのギャップを埋めるためのアクションが必要となります。以下は飢餓の現状を表すデータです。

飢餓の現状

・世界の9人に1人(8.15億人)が栄養不良である。

・世界の飢餓人口の大半は途上国に住んでおり、人口の12.9%が栄養不足である。

・アジアは全体の3分の2を占める飢餓人口を抱える大陸である。 近年、南アジアの割合は減少していますが、西アジアでは若干増加している。

・南アジアは最も飢餓の苦しみに直面しており、栄養失調の人々は約2億8100万人にのぼる。サハラ以南のアフリカでは、2014年から2016年の調査でおよそ23%が栄養失調であると推測された。

・栄養不足は、5歳未満の子供の死亡要因のほぼ半分(45%)をしめている。すなわち、毎年310万人の子供が栄養不足によって命を落とす。

・世界の子供の4人に1人が発育不全に苦しんでいる。 途上国では、その割合が3人に1人である。

・発展途上国で初等教育年齢の6,600万人の児童は、飢えた状態で授業に参加し、その児童の数はアフリカだけで2,300万人となっている。

食料安全保障の現状

・農業は、世界人口の40%が生計を立てるという意味で世界最大の産業である。 農業は貧しい農村世帯のための収入と雇用の最大の源泉となっている。

・世界の5億人の小規模農家は、途上国の大部分で消費される食糧の80%を提供している。 小規模農家の人々への投資は、地域や世界の食糧生産だけでなく、最貧層の人々にとっての食料安全保障と栄養摂取を高める重要な施策です。

・1900年代以来、作物の多様性の約75%が農民の田畑から失われてきた。 農業の生物多様性の有効活用は、より栄養価の高い食生活、農民の生計向上、より弾力的で持続可能な農業システムに貢献する。

・もし女性の農家が男性と同じように農業資源にアクセスすることができれば、世界の飢餓人口は1億5000万人まで減らすことができる。

・世界の40億人は電力を利用することができていない。そのほとんどは途上国の農村部に住んでいる。 多くの地域でのエネルギー困窮は、飢餓を減らし、将来の需要を満たすのに十分な食料を世界で生産できるようにするための障壁となっている。

まとめ

このような現状があるなかで私たちに何ができるのでしょうか。

飢餓や食料安全保障は単一の課題に留まらず多くの社会課題の要因となります。飢餓に苦しむ多くの人々は日々の活動を食事を得るための労働に費やします。これでは、貧困のサイクルから抜け出すことはかないません。

飢餓に苦しむ人々が栄養状態を改善し、自立した生活できるように官民一体となった施策や支援が求められます。個人でも食料を無駄にしないなどの小さな行動から飢餓や食料安全保障の対策に貢献することができます。

※1 目標2の概要文は国際連合広報センターHPより引用

参考サイト 
・国連HP
・外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ

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