SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、2015年9月の国連サミットで193の国連加盟国の合意によって採択された2016年から2030年までの国際目標です。
ここでは、目標10の「国内および国家間の不平等を是正する」について解説します。
目標10:「国内および国家間の不平等を是正する」
国際社会は、人々を貧困から脱出させるという点で、長足の進歩を遂げました。後発開発途上国や内陸開発途上国、小島嶼開発途上国といった最も脆弱な国々では、貧困の削減が引き続き進んでいます。
しかし、不平等が解消せず、保健・教育サービスその他の資源へのアクセスという点で、大きな格差が残っています。
また、国家間の経済的格差が縮小傾向にあるとしても、各国国内では不平等が拡大しています。
経済成長があっても、それが包摂的でなく、経済、社会、環境という持続可能な開発の3つの側面にすべて関係するものとならない場合、貧困削減には不十分だというコンセンサスも広がっています。
不平等を削減するためには、原則として社会から隔絶された恵まれない人々のニーズに注目し、普遍的な政策を導入すべきです。(※1)
目標10のターゲット
目標10におけるターゲットは下記の10項目です。
10.1 2030 年までに、各国の所得下位 40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7 計画に基づき良く管理された移住政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c 2030 年までに、移住労働者による送金コストを 3%未満に引き下げ、コストが 5%を越える送金経路を撤廃する。
不平等の現状
目標10の「国内および国家間の不平等を是正する」に対する具体的な成果指標として10のターゲットを紹介しました。
これらのターゲットを達成するには、現状とのギャップを知り、そのギャップを埋めるためのアクションが必要となります。以下は不平等の現状を表すデータです。
・2016年時点で、先進国が世界市場に輸出した製品の64.4%以上が関税ゼロであった。これは2010年から20%の増加とである。
・発展途上国での調査によると、最貧層の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率は、最も豊かな国の子供たちよりも3倍高い。
・社会保護は世界的に大幅に拡大されているが、まだ身体障害者が莫大な医療費を被る可能性は平均より5倍高い。
・大部分の途上国で妊産婦死亡率が全体的に低下しているにもかかわらず、農村部の女性が出産中に死亡する確率は、都市部に住む女性よりも3倍高い。
・所得格差の30%は、女性と男性間の世帯内の不平等によるものである。
まとめ
今日の世界では、私たちはすべて相互につながっているといえます。 貧困、気候変動、経済危機などの課題は、決してひとつの国や地域に限定されることではありません。
グローバルな不平等は、私たちが誰であるか、あるいは私たちがどこにいるかにかかわらず、私たちすべてに影響を与えます。
経済成長を成し遂げても、それが包摂的でなく、経済、社会、環境という持続可能な開発の3つの側面にすべて当てはまらなければ、貧困削減には不十分だというコンセンサスも広がっています。
不平等を削減するためには、恵まれない人々が抱える課題やニーズに注目し、解決するための普遍的で包括的なアプローチが重要です。
※1 目標10の概要文は国際連合広報センターHPより引用
参考サイト
・国連HP
・外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ」