SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、2015年9月の国連サミットで193の国連加盟国の合意によって採択された2016年から2030年までの国際目標です。
ここでは、目標17の「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」について解説します。
目標17:「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」
持続可能な開発アジェンダを成功へと導くためには、政府、民間セクター、市民社会の間のパートナーシップが必要です。
人間と地球を中心に据えた原則や価値観、共有されているビジョンと目標に根差すこのような包摂的パートナーシップは、グローバル、地域、国内、地方の各レベルで必要とされています。
民間の数兆ドルに上る資金が持つ変革力を動員し、方向を変え、解放し、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に役立てる必要があります。
特に開発途上国では、重要部門への海外直接投資を含む長期的な投資が必要とされています。具体的な部門としては、持続可能なエネルギー、インフラと輸送、さらには情報通信技術が挙げられます。
公共セクターは明確な方向性を定めなければなりません。投資を誘致し、持続可能な開発をさらに促進できるよう、審査・監視枠組みや規制のほか、このような投資を可能にするインセンティブの構造を改革しなければなりません。
最高会計検査機関や立法府による監督機能など、国内の監督メカニズムも強化すべきです。(※1)
目標17のターゲット
目標17におけるターゲットは下記の19項目です。
資金
17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2 先進国は、開発途上国に対する ODA を GNI 比 0.7%に、後発開発途上国に対する ODAを GNI 比 0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含む ODA に係るコミットメントを完全に実施する。ODA 供与国が、少なくとも GNI 比 0.20%の ODA を後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
技術
17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8 2017 年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
能力構築
17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
貿易
17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めた WTO の下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に 2020 年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
政策・制度的整合性
17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
データ、モニタリング、説明責任
17.18 2020 年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19 2030 年までに、持続可能な開発の進捗状況を測る GDP 以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。
グローバル・パートナーシップと課題の現状
目標17の「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」に対する具体的な成果指標として19のターゲットを紹介しました。
これらのターゲットを達成するには、現状とのギャップを知り、そのギャップを埋めるためのアクションが必要となります。以下はグローバル・パートナーシップと課題の現状を表すデータです。
・政府開発援助は2014年に1352億ドルとなり、これまでの最高水準に達した。
・途上国からの輸入の79%が先進国に無税で輸入されている。
・途上国の債務負担は、輸出収入の約3%で安定している。
・アフリカのインターネットユーザー数は過去4年間でほぼ倍増した。
・世界の若者の30%がデジタル・ネイティブであり、少なくとも5年間はオンラインで活動に触れている。
・しかし、40億人以上の人々がインターネットを利用できておらず、その90%は発展途上国の人々である。
まとめ
社会課題の原因や影響が全ての国や地域でつながっている中で、グローバルな連帯の強化はSDGs(持続可能な開発目標)の達成に欠かせません。
具体的な行動の実現、支援の拡大に向けて政府、市民社会、科学者、学界、民間セクターの全てが協力する必要があります。
SDGsの17目標はそれぞれが独立した課題ではなく、結びついています。複数の目標を同時に達成するためにもグローバル・パートナーシップを活性化し、包括的なアプローチを取ることが重要です。
※1 目標17の概要文は国際連合広報センターHPより引用
参考サイト
・国連HP
・外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ」