SDGs:目標8「働きがいも経済成長も」

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、2015年9月の国連サミットで193の国連加盟国の合意によって採択された2016年から2030年までの国際目標です。

ここでは、目標8の「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」について解説します。

目標8:「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」

SDGs 社会課題 ディーセント・ワーク

世界人口の約半数は1日約2ドル相当の所得で生活しています。また、仕事があっても貧困から脱出できるとは限らない場所があまりにも多くなっています。

改善はとてもゆるやかで不均等でしかありません。貧困根絶のためには経済・社会政策の見直しと改革が迫られています。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会の欠如、不十分な投資、過少消費が続いていることで、すべての人が進歩を分かち合わねばならないという、民主主義社会の根底をなす基本的な社会契約が形骸化しています。

2015年以降も、ほとんどすべての経済にとって、質の高い雇用の創出は大きな課題となるでしょう。

持続可能な経済成長を実現するためには、すべての人が環境を損なうことなく、経済を活性化できる質の高い雇用を得られるための状況を社会が整備する必要があります。

また、現役世代全体に雇用の機会と適正な労働条件を提供することも必要です。(※1)

目標8のターゲット

目標8におけるターゲットは下記の12項目です。

8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率 7%の成長率を保つ。

8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 カ年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

8.6 2020 年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025 年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。

8.9 2030 年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。

8.b 2020 年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

経済成長・雇用の現状

SDGs 社会課題 ディーセント・ワーク目標8の「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」に対する具体的な成果指標として12のターゲットを紹介しました。

これらのターゲットを達成するには、現状とのギャップを知り、そのギャップを埋めるためのアクションが必要となります。以下は経済成長・雇用の現状を表すデータです。

・2017年の世界の失業率は5.6%で、2000年の6.4%から減少した。

・2016年では全世界の労働者の61%が非公式の雇用に従事していた。農業分野を除いても、全雇用者の51%がこの雇用種別であった。

・45カ国のうち40カ国の男性は女性より12.5%多くの収入を得ている。

・世界のジェンダー賃金格差は23%であり、決定的な行動がなければ、同等の賃金を達成するのに、さらに68年かかると予測されている。

・女性の労働参加率は63%、男性は94%である。

・女性の社会進出が進んではいるが、まだ家事や無償のケアを男性の2.6倍を行っている。

・2016年から2030年の間に労働市場への新規参入者には4億7,000万人分の雇用が世界中で必要とされている。

まとめ

包括的で持続可能な経済成長を実現するためには、質の高い雇用をすべて人に提供する必要があります。

そのためには、インフラの整備や質の高い生涯教育、機会の平等など官民一体となった多くの投資や環境の整備が不可欠です。

「すべての人が自分が生きている社会をより良くするために働くことができる」そのような社会の実現が求められるでしょう。

※1 目標8の概要文は国際連合広報センターHPより引用

参考サイト 
・国連HP
・外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ

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